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「ふるさと納税」が“増税”につながる?「97億円の税収流出」「経費率46.4%」が示す「今後の課題」/幻冬舎 GOLD ONLINE

2023/07/04 税金

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ふるさと納税は、好きな自治体(都道府県、市区町村)に対する「寄付」をすると、寄付金額から2,000円が税金から差し引かれて戻ってくるというもの

ふるさと納税の制度で得をしたつもりが、最終的に「増税」による税負担の増大につながる可能性も指摘されている

ふるさと納税のしくみ

まず、ふるさと納税のしくみについて簡単に説明します。

 

ふるさと納税は、好きな自治体(都道府県、市区町村)に対する「寄付」をすると、寄付金額から2,000円が税金から差し引かれて戻ってくるというものです。

 

「税額控除」または「還付」という形をとります。

 

多くの自治体は「返礼品」を送ってくれるので、ふるさと納税をする人は、実質的に、2,000円のみの自己負担で「返礼品」を手に入れることができます。

 

たとえば、九州のとある自治体に「5万円」を寄付し、返礼品としてクエ鍋セット(市場価格2万円相当)を受け取った場合、市場価格2万円と自己負担額2,000円の差額の1万8,000円分を得することになります。

 

自治体の負担が大きくなる「ワンストップ特例」

「寄付額-2,000円」を取り戻す手続きは「確定申告」と「ワンストップ特例」の2つがあります。「ワンストップ特例」は、確定申告でほかに控除等の制度を受けない場合に利用できるもので、簡易な手続きで済むものです。

 

【「確定申告」を選んだ場合】

・所得税:「寄付額-2,000円」×所得税率の額(A)が返ってくる(還付)

・住民税:翌年支払う居住自治体の住民税の額から「寄付額-2,000円-A」が差し引かれる(税額控除)

 

【「ワンストップ特例」を選んだ場合】

・所得税:控除なし

・住民税:翌年支払う居住自治体の住民税の額から「寄付額-2,000円」が差し引かれる(税額控除)

 

いずれも、戻ってくる額の総額は同じです。しかし、国・居住自治体の負担のあり方が違います。

 

すなわち、「確定申告」を選んだ場合、所得税(国の税金)と、住民税から戻ってきます。つまり、国と居住自治体が負担を分け合うことになります。

 

これに対し、「ワンストップ特例」の場合、全額を居住自治体が負担することになります。

 

「確定申告」の場合との差額を、国が補てんする制度はありません。したがって、「ワンストップ特例」を利用する人が多くなるほど、居住自治体の負担が大きくなるということです。

 

「ワンストップ特例」は2015年から簡易な制度として導入されました。これによってふるさと納税を利用する人は格段に増加しました。その反面、冒頭で述べた東京都世田谷区のような、「税収の流出」の問題に悩む自治体も増加することになりました。

 

ちなみに、東京23区は地方交付税交付金の不交付団体であり、現状では、流出分を他からカバーする制度がありません。

 

居住自治体の行政サービスの財源が不足する可能性も

ふるさと納税によって他の自治体への税収の流出が増加すると、地方自治体の行政サービスに支障をきたす可能性があります。

 

たとえば「ごみの収集・処理」、「上下水道」や、道路・公共施設等の「インフラ整備」といった、住民の日常生活に欠かせない事業を維持するための財源が不足するおそれがあります。

 

ふるさと納税を行うと、住民として負担すべきそれらのコストの一部を他に流出させる面があることは否定できません。

 

結局は「増税」で賄うことになる?

さらに、ふるさと納税の制度で得をしたつもりが、かえって、最終的に「増税」による税負担の増大につながる可能性も指摘されています。

 

どういうことかというと、ふるさと納税を利用する人は、返礼品を受け取ることにより、「返礼品の市場価格-2,000円」の分だけ得をします。

 

しかし、逆にいえば、その反面、全国の地方自治体のトータルでの税収はマイナスになります。

 

すなわち、ふるさと納税のためにかかる自治体側の主な経費としては、以下が挙げられます。

 

【ふるさと納税にかかる主な経費】

・返礼品の調達価格

・送料

・「さとふる」や「楽天ふるさと納税」といった仲介サイトへの手数料

・その他の事務にかかる費用

 

総務省の発表によれば、2021年時点で経費率は全国平均46.4%になっています。

 

総務省は、経費率が50%を超える自治体に対し、改善を要求しています。しかし、どの程度改善されるかは、現段階では未知数です。

 

もし、税収が足りず行政サービスに支障が生じることになった場合、「地方交付税交付団体」であれば、不足分を「地方交付税交付金」により補てんしてもらうことが考えられます。

 

この「地方交付税交付金」の財源は国の税金なので、結局は「増税」によって賄われることになる可能性が高いのです。

 

なお、冒頭に紹介した東京都世田谷区は地方交付税交付金の「不交付団体」なので、その分を補てんしてもらうことはできません。しかし、もしも税収不足が深刻化した場合、何らかの形で手当てが行うことになれば、それも結局は税金で賄われざるをえません。

 

「地方の活性化」等のメリットは考えられるが…

もちろん、ふるさと納税には、税収の不均衡を是正し、地方の活性化を促すなどの理念があります。国の政策として、それらの課題への取り組みが重要であることはいうまでもありません。

 

また、ふるさと納税により自治体の知名度が向上したり、地元の名産品の生産者や製造業者が潤ったりする面があることも確かです。

 

しかし、その反面、制度を利用する人が著しく拡大していることに伴い、上述したように、特に都市部の自治体で巨額の税収が流出して行政サービスの財源が脅かされる危惧が生じていることや、あるいは、経費率が半分近くになっていることなどの問題点も顕在化してきています。いずれも、もし、不足分を増税で賄うことになれば、結局は、国民の負担が増大することにつながります。

 

これらは、当初、想定されていなかったものかもしれません。しかし、どのような制度でも、実際に運用されていくうちに、課題や改善すべき点が生じていくことは避けられません。

 

ふるさと納税の制度設計について、上記の点を踏まえ、可能な限り改善していくことが求められています。

 

 

 

 

参考元:【「ふるさと納税」が“増税”につながる?「97億円の税収流出」「経費率46.4%」が示す「今後の課題」 | 幻冬舎ゴールドオンライン (gentosha-go.com)

 

 

 

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